夜間休日の救急往診事業の今後に関しまして



令和6年2月14日に厚生労働省から発表された令和6年度 診療報酬改定において、救急往診事業に関して厳しい評価の見直しが発表されました。多くの方より体制継続に関するご要望やお問合せを頂戴していることから、今後の方針についてご報告させていただきます。

本改定により、令和6年6月1日からは「普段から訪問診療を受けている」かどうかによって診療費が変更になります。この基準を満たす患者は全国に約89万人と国民の1%未満にも満たず、多くの患者は大幅に減額された新たな診療費の適用を受けることになります


この大幅な減額により、医療機関が医師・看護師の人件費を含む多くの支出を支えることが困難となり、結果として、多くの患者にとって夜間や休日の往診へのアクセスが制限されることとなります。

こうした状況を受けて、大変心苦しいながらも令和6年3月1日より、診療費以外の一部の費用については患者様に直接自己負担をいただく取り組みを開始することにより、救急往診事業の存続を模索してまいります。


ファストドクターはこの状況を「往診事業存続の危機」ではなく、「かかりつけ医機能の低下に繋がる」として捉えています。

現状、かかりつけ医を持つ人の割合は国民の45%にとどまっています。かかりつけ医は地域医療において不可欠な役割を担いますが、診療時間外の相談に対応可能な医療機関は全体の半数程度であり、夜間や休日には空白が生じています。また、在宅医療に対応する医療機関は全体の37%に過ぎません。かかりつけ医の平均年齢が60歳を超えている超高齢社会を考慮すると、時間外業務や在宅医療の負担を強いることは地域医療を支える持続可能な選択肢にはなり得ません。


ファストドクターは創業以来、夜間休日のかかりつけ医機能を強化することを目指してきました。一部ではコンビニ受診を助長するといった論調で語られることがありますが、救急病院や119番の利用を検討する患者からの救急受診相談において、緊急度判定の結果、往診を案内しているのは30%です。ほかオンライン診療(35%)、救急外来や119番(約11%)、当日受診不要(約23%)など、患者を適切な受診に案内しています


コロナ禍では長期にわたり、多くのかかりつけ医が患者へ必要な医療提供を行うことが難しく、結果として病院や救急車に頼らざるを得ず、前例のない医療崩壊を招いたことは記憶に新しい事実です。ファストドクターはその隙間を埋める存在として、全国23都道府県で医療提供に貢献しました。高齢化の影響で今後も医療需要が増加していきますが、有事・平時を問わず、かかりつけ医のキャパシティを超える空白を支え、24時間体制で一体となって地域医療を守っていく存在が不可欠だと私たちは考えています。

事例として、旭川市では119番と連携し、救急要請をしたコロナ患者に対してファストドクターが緊急性の判断と必要時の診療を提供することにより、軽症の患者が救急車を利用する割合を44%減少させることに成功しています(日本初事例)。また、コロナ禍では全国で軽症患者による救急車の利用割合が増加しましたが、自治体とファストドクターが連携し、自宅療養者への救急往診などの初期対応を担った複数の地域においては軽症搬送割合が低下するなど、創業ビジョン「不要な救急車利用を3割減らす」につながる成果を追求しています。


またコロナ禍以降では、東京都や千葉県において自治体主導のもと24時間体制での在宅医療の推進を目的に、ファストドクターが夜間休日の医療体制を担っています。こうした連携により、24時間365日体制で患者を見守る在宅医の負担が軽減したことが筑波大学との共同研究でも明らかになっています


進みゆく高齢化により、コロナ禍を乗り越えた今でも、「医療ニーズは増大する一方でかかりつけ医の浸透は遅れている」という問題は現在進行形で進んでいます。特に医療資源が不足する時間外や在宅医療においては、個別のかかりつけ医の献身に依存するだけではなく、分業と連携による機能強化が日本の医療を持続可能なものにしていくと私たちは信じております。

この信念のもと、ファストドクターは提携医療機関および日々診療にあたる医師・医療従事者とともに、夜間休日の救急往診事業の存続を模索してまいります。


2024年2月29日
ファストドクター株式会社 代表取締役 菊池 亮(医師) 水野 敬志